6月定例会 代表質問から
6月30日の本会議代表質問の内容を抜粋してお伝えいたします。
1.「京都エコポイントモデル事業」について
「京都エコポイントモデル事業」は、家庭での電気・ガスの節約分を
ポイントとして、そのポイントを買い物や交通機関で使える仕組みを通じて、
CO2排出量の削減を図るもの。
制度としては、全国に先駆けていち早くシステム化したが、課題も多い。
まず、参加世帯数の問題。昨年8月から、3000世帯を目標に
参加家庭の募集を始めたが、参加が増えていない。
募集開始から1年近くたって、目標に対して、どの程度の応募があったのか。
そもそも府民の皆さんが本事業をあまりご存知ない、
広く府民の皆さんに知っていただく工夫が必要。
どのようにして府民の皆さんにまずは知っていただくのか。
そのため、団体やグループを通じて、その会員の方々に知っていただき、
そして広めていただくのも一つの方法。
社団法人京都私立病院協会の取り組みを紹介したいと思います。
このたび、創立45周年記念事業として、環境キャンペーンを実施。
病院は医療面・衛生面などから、エネルギー消費がかさむと言われております。
この環境キャンペーンでは、京都議定書の締結された京都から、
「常に人々の健康を願う医療人が率先して環境保全の取り組みを行う」として、
今月から、こまめな消灯などの省エネ活動を促進されていますし、
病院施設の職員の皆さん一人ひとりにCO2削減を求めておられます。
そして、その取り組みの中で、省エネ活動を支援するため、
病院・施設の職員の皆さんにこの「京都エコポイントモデル事業」への
参加を呼びかけていただいているもの。
私立病院の業界全体で、京都府とタイアップしてCO2の削減に取り組んでいただく。この点、大いに評価できるが、
本事業を広めるため、この病院協会さん以外に業界、グループなどに
向けた同様の取り組みはあるのでしょうか。
本事業に参加するには、ホームページ上でIDパスワードを取得する必要があったり、
電気やガスの使用量という個人情報を提供するため、委任状を作成する必要があるなど、
手続が煩雑で、インターネットを使える環境が必要となります。
例えば、インターネットを使える環境のない方の参加については、
どのようにお考えなのでしょうか。
また、本事業に私は参加させていただきましたが、より多くの職員の
皆さんもCO2削減に貢献していくために本事業に参加すべきと考えます。
さらには、本事業がどの程度CO2削減につながるのか、
本モデル事業全体としての試算はあるのでしょうか。
本事業の目的である、CO2削減については、平成18年から施行されている
「京都府地球温暖化対策条例」の中で「温室効果ガスの排出量が
大幅に削減された社会をめざし、その第一歩として2010年度に1990年度比10%の削減目標」を設定されていますが、
この達成の見込みと2011年以降については、どのようにお考えか。
京都府の条例でもうたっている通り、CO2が大幅に削減された
低炭素社会を築いていくためには、次の目標設定がたいへん重要な意味を持つことは
言うまでもありません。
しかしながら、先日、麻生総理は、わが国のCO2排出削減の2020年における
中期目標を、2005年比15%削減と発表されました。
これは、1990年比では8%の削減にすぎず、国際社会が先進国に求めている、
1990年比25〜40%の削減、との要請には到底及ばないものであり、
国際社会に大きな失望を与えたものと存じます。
「京都議定書」締結の地 京都、世界的な環境都市と言われる京都。
京都府は地球環境を守るリーダーシップを取っていく必要があります。
先日京都府の環境審議会の担当部会が開かれ、中長期の二つの目標を盛り込む、
新環境基本計画を検討されていると伺いましたが、その検討状況はいかがでしょうか?
2.「京都府自転車の安全な利用の促進に関する条例」について
このいわゆる「自転車条例」は、具体的には、「自転車利用者」に対して、
携帯電話やイヤホンなどを使用しながら運転しないこと、
傘をさしながら運転しないことなどが求められている。
また、6歳未満の幼児を同乗させるときには、ヘルメットの着用を義務付けている。
子どもが自転車から落ちて、死亡したり後遺症が残ったりする
主な原因は頭部打撲であり、特に、停車中の転倒・転落事故では
100%頭部に衝撃を受けるというデータもある。
もともと自転車は倒れやすいので、子どもを守るためには、
必ずヘルメットを着用させるよう、指摘されてきたところであり、
私ども民主党京都府連「京都マニフェスト」でも求めてきたこと。
従って、条例の中で義務化していることについては評価できる。
一方、京都府交通対策協議会が昨年9月から12月に実施した
「普及モニター事業」の結果では、ヘルメットについて「いつも着用しているが7割程度」であった
と伺いました。条例により一定の効果はありますが、まだまだ100%では
ありません。ヘルメット着用に向けたさらなる府民啓発や着用率を
あげるための取り組みが求められます。
条例施行から1年半たって、このヘルメット着用義務化を含む本条例の
成果と引き続きの取り組みはいかがでありましょうか。
感覚的に申しますと、ヘルメットの着用は定着しつつありますが、
ルールやマナーは、あまり改善されていなのではないか。
ルールやマナー改善への具体的な取り組みについてはどのように考えているのか。
自転車は手軽な乗り物であり、ついつい安易な気持ちで乗ってしまいがち。
私はここに課題があるのではないか、と考えております。
実は自転車は軽車両の仲間、つまり車と同じ扱いであります。
そうであればなるべく自転車を車と同じように扱えないか、
例えば、万一の事故の時には、保険に入っていないと車の事故と
同じように多額の賠償責任がかかるケースがございます。
自転車も車と同じように、定期的に点検・整備を行い、損害保険等に
加入することが必要であり、そうすることは、車に乗るのと同じような意識を持って、
自転車に乗ることにつながり、ひいては自転車事故の減少にも
つながるのではないでしょうか。
そのため、本条例では努力義務になっておりますが、自転車の
点検・整備及び損害保険等への加入をより一層促進されてはいかがでしょうか。
点検・整備と保険を兼ね備えた「TSマーク」というものをもっと奨励してはいかがか。
これは、自転車安全整備店で自転車の点検・整備を受けると、
費用は少しかかりますが、傷害保険や賠償責任保険が付帯された
「TSマーク」を自転車に貼り付けてもらい、そしてその整備を受けた自転車について
1年間保険が有効となるものでございます。
「TSマーク」はすべての自転車販売店で扱っていないとも伺っております。
府内で「TSマーク」を取り扱える自転車安全整備店はどのくらいあるのでしょうか?
また、扱えるお店を増やすお考えやそのための方策はいかがでしょうか?
また、提案申し上げた点検・整備やTSマークを通じての、
今後の対策はいかがでありましょうか?
また、小さな子供にルールやマナーを身につけさせるには、
交通安全教室が有効だと考えます。交通安全教室のこれまでの
実績と今後のお考えはいかがでしょうか?さらには、自転車の
運転免許証というものについても、取り組みを推進されていると伺っておりますが、
その実績と今後の見込みについてお伺いしたいと存じます。
3.がん医療の取り組みについて
国の「がん対策基本法」では、地方公共団体の責務として、
法の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、
その地域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務が定められておりますので、
本府においても、京都の特性に応じたがん対策が必要不可欠であります。
そんな中、今年度から京都大学医学部付属病院が、がん医療の中核となる
「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定されました。
府内では府立医科大学付属病院に続き2つ目になります。
本府において、がん診療の質の向上や連携協力体制の構築に関し、
中心的な役割を担うために、この拠点病院は指定されているものと存じます。
京大病院は我が国の新しい医療開発のフロンティアを担ってきた病院であり、
府立医科大病院もトップレベルの医療を本府に提供いただいてきた優れた病院。
指定を受けた2つの病院の連携により、より進んだがん医療に向けての
相乗効果が期待されるところであります。では、どのようにして連携を進めていくのか、
そのための府としての支援をどのように考えておられるのか。
また、2つの「都道府県がん診療連携拠点病院」以外に府内に7つある
「地域がん診療連携拠点病院」や4つある「地域がん診療連携協力病院」も含めた、
本府全体としてのがん医療体制をどのように構築していくのか。
その一方で、府内のがん患者団体等も情報交換などを目的に
連携を強めていく動きがあります。府内のがん患者会、がん医療に係る市民団体などが、
情報交換、相互交流、患者への支援を行う、「京都府がん患者団体等連絡協議会」が
本年3月に発足いたしました。
また、患者さんやご家族が集まって悩みや不安に思うことなどを
自由に語り合う「患者サロン」が京都医療センターや第二日赤、
さらには府庁内のNPOパートナーシップセンターなど、府内に相次いで発足し、
活動を続けておられます。
患者さんは、患った部位や治療法などなど、それぞれに千差万別の
事情や悩みをお持ちです。患者サロンは、様々な事情のある
患者さんや家族の方々が集まり、さらに医師も加わって、
情報交換や悩みごとを話し合う場であり、医療を補完するものとして
たいへん意義深いものと思います。この「患者サロン」に対して、
府としての何らかの支援を検討できないものでしょうか。
さらには、患者会や連絡協議会等ともタイアップして、患者さんや
家族の方々の声を聞き、医療関係者の方々も参加して専門的なご意見を
伺った上で、京都府のがん医療行政に反映する仕組みづくりが必要だと思います。
このような仕組みづくりの構築に向けてのお考えをお伺いいたします。
4.小さな犯罪を許さない、「割れ窓理論」実践運動について
割れ窓理論とは、シャッターや壁に書かれた落書きや貼り紙を
そのままに放置すると、やがて大きな犯罪につながるという考えから、
小さな犯罪のうちに消去・撤去し、地域ぐるみで犯罪の芽を摘み取る活動のこと。
かつての犯罪多発都市ニューヨーク市において、当時のジュリアーニ市長が、
この「割れ窓理論」を実践。割れ窓や落書きなどの軽微な犯罪の取締りを
強化した結果、犯罪が大幅に減少したことが知られています。
京都においても、「京都割れ窓理論実践委員会」という市民団体が、
長年にわたり、地域や学生のみなさんとともに取り組んでおられます。
京都府のHPには、この委員会の委員長である小池英信さんのお話が掲載され、
次のように述べておられます。「多発する犯罪のニュースを聞くにつれ、
これからの社会はどうなるのだろうと憂いていたとき、割れ窓理論と出会い、
落書き消しや貼り紙の撤去活動は、単なる環境の維持だけではなく、
犯罪をなくして安全な地域をつくろうとするものであり、子供たちにとっては地域を大切にする心を養う人づくりの機会にもなる」
とのこと。また、学生では、京大生を中心とするワンピースという
地域ボランティアサークルのみなさんが熱心に取り組んでおられます。
私も、以前から新京極や寺町あたりを歩くとき、シャッターやカベに
多くの落書きがあることを目の当たりにし、「これを何とかしたい」と
考えておりましたが、そんなときに、小池さんと出会い、この「割れ窓理論」実践運動に、
何度か参加させていただくことができました。
昨年2月と8月には新京極、寺町の商店街、11月には錦市場商店街、
そして今月には祇園祭を前にそのお膝元である中京区の本能学区と明倫学区での
活動に参加をさせていただきました。
本府におかれましては、府職員ボランティアを「京都府庁落書きバスターズ」として結成し、
毎回数十人の職員のみなさんがボランティアに参加されていますし、
山田知事自らも参加され、汗を流しておられるものと存じます。
さらには、委員会のみなさんはもちろん、地域や学生、警察一体となった
取り組みを展開されてるものと存じます。
これまでの取り組みについての実績と今後の展望、
例えば府内全域に展開される具体的な計画はあるのでしょうか?
また、ボランティアに参加されての知事ご自身の率直なご感想はいかがか。
さらには、昨年11月の決算委員会で求めておりましたが、
知事をはじめ、府の職員のみなさんが府民生活の課題や現場での困りごとを
肌で感じることが大切だと思います。府民のみなさんに直接触れ合うことができ、
府民のみなさんに顔が見える、知事及び職員のボランティア活動については
大いに評価できると思いますが、今後のボランティア活動についてのお考えはいかがか。
5.教育現場でのAED(自動体外式除細動器)の活用について
平成19年12月定例会の一般質問にて、府立学校のAEDの活用について
質問をさせていただきました。その質問の中では、府内の全府立学校に
AEDを配備したものの、その使い方については、様々な理由で講習が
あまり進んでおらず、そんな状態では、万一の緊急時にAEDを使える
教職員や生徒が近くにいないという事態も想定されるのではないか。この点に大きな問題意識を抱き、質問をさせていただいた。
その質問に対し、教育長から、その当時、府立高校について
約4000名の高校生と1800名の教職員が普通救命講習に参加した、
さらには、今後は校内における指導者養成を進め、生徒全員が
卒業までにAEDの取り扱いについてしっかり学習できるよう
努めていきたいとのご答弁をいただきました。その後、1年半ほど経過して、
講習の状況はいかがでしょうか。
私は、この教育長答弁を受けて、府内26校の府立高校をまわり、
現場の校長先生や副校長先生に、教育長答弁を紹介し、
AED講習を進めていただくようにお願いをいたしました。
府立高校26校をまわらせていただくと、学校現場の実情に応じて、
様々な方法でAEDを活用されている様子がよくわかりました。
AEDの設置場所については、校舎玄関やグランド付近に設置されているケース、
保健室の前に設置されているケース、校舎とグランド双方から最も近い場所に
設置されている学校もありました。
講習の対象者についても、1年生全員や2年生全員といった
特定の学年全員を対象にされているケース、夏休み前に
運動部の生徒を中心として講習を行っているケース、
普通科?類や人間環境科、健康福祉コースといった特定の学科やコースの
生徒全員を対象とするケースなどがありました。
講習の方法についても、所轄消防署の方に学校にきてもらって、
体育館などで一斉に行うケース、保健体育の授業中にミニチェアの人形を
用いて保健体育科の教師が指導するケース、ある学校では
医療専門学校に依頼して、その先生と生徒を招いて講習を行っている学校も
ありました。また、ある学校では、設置してあるAEDの横に
使用方法を記したポスターを貼って、その使い方を図解でわかりやすく
紹介するという工夫をしている学校もありました。
一方、ある学校では、万一の時、実際にAEDを使うのは
保健体育の先生だろう、という考えから、体育教官室内にAEDを
管理されているケースがありました。また、現場の声を聞く中で、
運動部の生徒を優先的に受講させるケースが多いように思いました。
保健体育の先生や運動部の生徒から、というのも、物理的な
順番としてやむをえない面もありますが、AEDを使用するケースは、
必ずしも運動中の事態とは限りません。
例えば、本年2月には、この京都府庁のすぐお近くである元西陣小学校で、
学区の会議中に倒れ、AEDを適切に使用して一命を取り留められた
ケースもありました。同様のケースは亀岡市でもありましたし、
駅のホームでAEDを使用したケースもありました。
また、他府県では、パチンコ店内でお客さんが倒れ、パチンコ店の
店員さんがAEDを使用して助かったというケースもあるそうです。
このように今はAEDを使用して一命を取り留めたことがニュースに
なっていますが、今後は、たいへん残念ながら、万一の時、
AEDはあるのに、使えなかったことがニュースになるケースも出てくると
懸念されます。設置者や現場監督者の責任問題にも発展するのでは
とも思われます。従って、学校現場では少なくとも教職員は、
保健体育や運動部の顧問の先生だけではなく、全員講習を
受けていただきたいですし、生徒についても卒業までに全員が受講できるよう、
さらなる取り組みを進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか?
さらには、AEDの講習は、生命の危機に対する対処方法を学ぶことを通じて、
「命の大切さ」や「生命の尊厳」、あるいは「他人への思いやり」を学ぶことに
なるのではないでしょうか?
このような教育的効果についても、お考えをお伺いいたします。