防災教育について

このたびの東日本大震災では、学校現場において地震や津波の被害で
犠牲になった児童・生徒や職員は600人以上にのぼります。
そんな中、日頃の避難訓練や防災教育などが功を奏し、
多くの命が救われた岩手県釜石市の釜石東中学校の例を紹介します。
釜石東中学校では約7年前から群馬大学などと協力し、
平均して週1時間程度を防災教育に充て、年3回避難訓練の実施、
08年には文科省の防災教育支援モデル校に指定されるなど、
過去に何度も大津波による被害のあった地域性もあり、
大変熱心に防災教育に取り組んでおられました。
また、三陸地方に伝わる避難の教訓として、津波が襲って来たら、
てんでばらばらに、まずは自分の命を守るために一人ですぐに逃げる
「津波てんでんこ」というお話を演劇などで伝承する取り組みも
行っておられました。
さらには、2年前からは近隣の小学校と合同訓練も実施しており、
「中学生が小学生を先導する」「まずは高台に逃げる」との教えを徹底していた、
と言われています。

大震災発生時には、放課後で部活動の準備をしている生徒などが
校内に多く残っていましたが、日頃の訓練通り、近隣の小学校などに
「津波が来るぞ」と大声をあげながら、すぐに避難指定場所である
グループホームに避難しました。
しかし、そのグループホームの裏側の崖が崩れるのを目撃し、
さらに500メートル先の高台にある介護福祉施設に、
中学生が小学生の手をひいて、あるいは高齢者の方々に付き添って、
あるいは近隣の保育園の園児を抱えて避難した、とのことです。
そしてその高台に避難が終わるや否や津波が押し寄せ、
最初の避難指定場所であるグループホームもみるみる津波に
のまれてしまいました。
さらに、釜石東中学校にいたっては4階建て校舎が全て水没、
教室に流されてきた車が突き刺さっているほどの被害がありましたが、
校内にいた児童・生徒は全員が無事であったというものでした。
その一方で、ある小学校では、大津波に襲われ、全校児童の
約7割という多くの子どもたちの命が失われるというたいへん悲しい、
痛ましい被害がありました。
この学校では、地震直後には運動場に集合し、児童全員の無事が
確認されていたのですが、児童を保護者に引き渡したり、
教師が避難所開設の作業をしていたり、次の避難所をめぐっての
議論があったりして避難が遅れ、大惨事になったと言われております。
これら二つのニュースは私たちに何を教訓として残しているのでしょうか?
それは、日頃の備えや訓練の大切さであり、学校現場での
防災教育や避難訓練の重要性である、ということは言うまでもありません。
釜石東中学校の津波防災教育を指導した、群馬大学大学院の
片田敏孝教授のお話によると、防災教育の目指すものは、
1、自分の命は自分で守る、2、助けられる人から助ける人に、
3、防災文化の伝承、というものであり、特に「自分の命は自分で守る」と
いう主体性を強調されていたように感じました。
その主体性を養う観点で、釜石東中学校の教師のお話では、
避難訓練をマニュアル通りにだけ行わない、あらかじめ教師が
何かしらのアクシデントやイレギュラーをしこんでおく、という
工夫をお聞かせいただきました。
例えば点呼のときに生徒数人がいないように設定しておく、
歩けなくなる生徒をあらかじめ内緒で決めておくなど・・・
しかし、生徒たちは訓練を重ねるたびに突然のアクシデントにも
的確に判断、行動できるようになったとおっしゃっていました。
また、学校だけでなく地域との連携が大切である、とも強調されていました。
防災教育にも地域の民生委員さんにたいへんお世話になったそうでございます。
一方、私は避難訓練、防災訓練では学校は学校で、地域は地域で
別々に行われているケースが多いように感じています。
しかし、釜石東中学校の例のように、実際に災害が起これば、
その学校だけではなく、となりの学校もグループホームも保育園も・・・
地域全体が必ず関連してきます。学校ごとの個別的な訓練ではなく、
地域と連携した訓練が必要ではないでしょうか?
私の地元の中京区城巽学区では、昨年、地域の避難場所として、
そのグランドが指定されている、京都堀川音楽高校と連携し、
平日の午前中に、生徒と地域の合同防災訓練を実施しました。
当日は消防団指導のもと、高校の生徒は、起震車を使用しての
地震体験や三角巾を使用しての応急手当の方法、バケツリレー等に
真剣に取り組まれていました。
地域の方々は、自主防災会が中心になっての仮設トイレや
ジャッキの訓練、女性会はたきだしのお世話などを担当し、
正に地域と学校がいっしょになって有意義な訓練になったと思います。
そのように地域と学校がいっしょになって、
あるいは釜石東中学校のように隣接する小学校と中学校が
いっしょになって防災訓練などを行うことは本府においても
必要であります。
鉄は熱い内に打て、と言います。
防災意識の高い今のうちに防災教育にいち早く取り組むべきであります。

関西広域連合の今後の役割について

昨年12月発足した、関西広域連合では、府県の枠を超えて、
関西が一体となって、広域防災の分野、広域観光・文化振興、
他にはドクターヘリの運航などの医療分野や産業振興、環境保全、
資格試験・免許等、職員研修といった7分野について事業を行い、
また、国からの出先機関事務の広域的な受け皿となり、
住民サービスの向上を図っていくこととしております。
とりわけ、先の東日本大震災では、カウンターパート方式にて
被災県を担当府県が支援することを決定し、大震災という
緊急事態において迅速かつ効果的な支援を行っていることが
高く評価されていることと存じます。
このように関西広域連合は、順調な滑り出しと言えると私は思います。
では、今後はその役割や展開はどのように考えればいいのでしょうか。
私は、関西広域連合の今後の役割を考える中で、忘れてはならないことは、
府民にいかに認識をしていただくか、府民の声をいかに反映させていくか、
といった観点であると考えております。
現時点で言えば、関西広域連合の存在そのものやその活動内容は、
昨年発足したばかりということもあり、府民の認識などは
まだまだこれからといった感じを私は持っております。
私は府民にいかに認識していただくか、という観点では、
府民の生活に直結する、あるいはメリットを感じていただくという意味で、
様々な重要な取り組みの中でも、京都府を含む広域の交通インフラの整備が、
身近に感じていただきやすいのではないかと考えます。
例えば、関西広域連合では、関西一体となって外国人観光客を
誘客する中で、関空や成田空港に降りた外国人観光客に、
もっとたくさん京都に来ていただくために、広域の交通インフラの整備に
取り組んでいます、とアピールすることが身近に感じていただくことに
つながるのではないか、と考えます。
広域の交通インフラ整備については、関西広域連合では、
「広域インフラ検討会」を設けて検討されている、と伺っております。
もう一つの観点として、関西広域連合を府民にいかに認識していただくか、
そのためには広域連合の取り組みに府民の声をいかに
反映させていくかがたいへん大切であり、そして、そのためには、
広域連合議会の役割が重要になってきます。
議会についてもスタートしたばかりであり、開催回数も少ないことから、
議会から府民県民への情報発信もまだまだこれからであります。
徳島県で行われた、8月の連合議会を、学生の方々といっしょに傍聴しましたが、
学生さんはあまりピンときていなかったようです。
おとなりの大阪ではW選挙の真っ最中ですが、大阪がどうなっても、
京都を中心に関西広域連合の取り組みや議会の活性化を
推し進めていくべきであると考えます。
また、府民にわかりやすくという観点でも、関西一体となって
外国人観光客を誘客する、そして関空や東京等からもっと観光客に
京都に来ていただくために北陸新幹線を含む、アクセスやインフラの整備を
関西広域連合として京都を中心に検討を進めていると、
府民にわかりやすく情報発信する必要であります。

アーカイブカレンダー

1月0 Posts
2月0 Posts
4月0 Posts
5月0 Posts
6月0 Posts
8月0 Posts
9月0 Posts
10月0 Posts
11月0 Posts
12月0 Posts
1月0 Posts
2月0 Posts
3月0 Posts
5月0 Posts
8月0 Posts
9月0 Posts
10月0 Posts
11月0 Posts
12月0 Posts
1月0 Posts
3月0 Posts
4月0 Posts
5月0 Posts
8月0 Posts
9月0 Posts
10月0 Posts
11月0 Posts
12月0 Posts
1月0 Posts
2月0 Posts
5月0 Posts
6月0 Posts
7月0 Posts
8月0 Posts
9月0 Posts
10月0 Posts
1月0 Posts
3月0 Posts
5月0 Posts
7月0 Posts
8月0 Posts
10月0 Posts
11月0 Posts
2月0 Posts
4月0 Posts
5月0 Posts
7月0 Posts
8月0 Posts
10月0 Posts
12月0 Posts
1月0 Posts
2月0 Posts
3月0 Posts
4月0 Posts
5月0 Posts
7月0 Posts
8月0 Posts
9月0 Posts
11月0 Posts